ホセ・ムヒカ前ウルグアイ大統領
南米ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領がご来日され、このたび、駐日ウルグアイ東方共和国Eduardo Bouzout特命全権大使閣下のご厚意により、東京外国語大学でのご講演を拝聴させて頂く大変貴重な機会に恵まれました。
東京外国語大学での日本の若者に向けてのご講演風景。この後、池上彰氏との対談が行われ、その模様はフジテレビの特番で放映されました。現代の消費社会に警鐘を鳴らす非常に強いメッセージで、心に響く本当に素晴らしいお話でした。
大統領時代の給与の90%以上を慈善団体に寄付し、とても質素な生活を送っていたことから『世界一貧しい大統領』と呼ばれていましたが、2012年の国連リオ会議での伝説的なスピーチにより、偉大な大統領として世界中に広く知られることになります。その言動や人柄から、多くの人々から尊敬され慕われており、日本でもファンは多いと聞きます。昨年、5年の大統領任期を無事に終え、全国民に惜しまれながらご退任されたそうです。
「貧乏な人とは、少ししか物をもっていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」
どんどん物を買わせることによって成り立っている現代の消費社会。そしてただただ物欲を満たすことにより幸福を感じていると錯覚している我々にとって、買い物の代金やローンの支払いに日々追われ、大切な自分の自由な時間を奪われている現実に気づいている人はいったどれくらいいるのだろう。世界第3位の経済大国日本に暮らす我々は本当に豊かで幸せなのだろうか?ムヒカ氏の問いかけは多くの日本人に自身の人生を再考する素晴らしいチャンスを与えてくれてたと私は思います。
また日本の若者の政治離れについても大変憂慮されており、「どうせ何も変わらないだろう」とあきらめるのではなく、同じ考えの同志を集め、集団で行動することにより、きっと将来を変えることができる。と強く説いておられました。
当時のウルグアイ軍事政権に反発し、ただ国を良くしたいという信念のもと政治活動を行った結果、13年間の投獄生活を送ることに。しかしその間も自分の信念主張は全く曲げず、何物にも屈せず、ただひたすら信じ続け、最後には大統領にまで上り詰め、国民のために多くの改革を有言実行したという波乱万丈の人生を送ってこられたムヒカ氏のメッセージは、口先だけでない重みがあり、それが多くの人の支持を得ているのだと言われています。
これらの逸話はメディアでも多く取り上げられたのでご存知の方も多いかと思います。今回の来日で多くの日本人のこれからの人生に多大な影響を与えたことは間違いないでしょう。
(アメリカとキューバの歴史的な和解もムヒカ氏の貢献あってこそというお話も関係者から聞きました。もちろん日本のみならず世界的に大きな影響を与えている大変偉大な方です)
楽屋でフレンドリーに写真撮影に応じて下さったムヒカ前大統領。ご挨拶した際にとても優しい笑顔で迎えて下さいましたが、その瞳の奥から嘘偽りのない本物の優しさが伝わってきて、いつの間にか私も満面の笑みになっていました。右の女性はムヒカ氏の奥様でウルグアイ上院議員のルシア・トポランスキさん。本当に素敵なご夫婦でした。
以前からとても尊敬しておりすごくお会いしたかった方なので、実際にお目にかかれて本当に幸せでした。また、大きなパワーと同時に大切なメッセージも直接受け取った気がします。
このような大変貴重な素晴らしい機会を与えて下さいましたウルグアイ大使ご夫妻に心から感謝申し上げるとともに(各国大使、抽選の学生300人、マスコミ関係者以外、一般の入場は一切不可でした)81歳のご高齢にもかかわらず地球の裏側からはるばる日本までいらして下さり、日本のために貴重なアドバイスを下さったホセ・ムヒカ氏と奥様に心より御礼申し上げる次第でございます。
「世界一心の豊かなムヒカ前大統領」から頂いたありがたいお言葉を胸に、自分の人生をより幸せに生き、歯科医師として多くの患者様を幸せにすることができますよう尊い使命感をもって、残りの人生しっかり頑張っていきたいと思います!